未来のエネルギー、風の種をまく

「陸から洋上へ、そして浮体式へと進化する風力発電施設は、環境への影響を最小限に抑えつつ、生み出される電力を最適化する持続可能な
ソリューションを追求しています。」

 Nigel Crowe

Business Line Manager of Renewables and Wind, TÜV SÜD

未来のエネルギー需要を満たすには?これは私たちの時代の科学的謎解きです。多くの国が原子力と化石燃料に背を向け始めた今、再生可能なエネルギーへの代替を目標に掲げることは、もはや未来的な空想ではありません。政治家やイノベーターにとって急を要する課題となっているのです。

多くの人が「風力発電は持続可能な発電の解決策の一つになり得る」と主張しています。既存の発電に比べると安価で効率が良く、加えて環境負荷も小さいという利点があるからです。多くの自治体が住宅の近くに風力発電施設を建設することをためらっていること、また、陸上の設備では発電量が限られることなどを理由に、今、技術者たちは洋上風力発電の急速な発展につながる革新的な策を模索しています。

沿岸の課題:洋上に見い出すソリューション

何千年もの間、風力はエネルギー源として利用されてきました。世界で初めて風力タービンが使われたのはスコットランドで、1887年までさかのぼります。伝統的に風力発電設備は陸地に建てられており、それは今なお変わりません。昨年末にはスウェーデンで、650メガワットを発電する陸上風力発電施設の建設に許可が下りました。一方、中国の大規模施設、粛省風力発電所は7000台のタービンを有し、2020年までに2万メガワットの容量を達成する見込みです。しかし多くの国では土地が限られており、地形により風の流れが遮断されるため、甘粛省風力発電所のような規模の施設を陸上に建設することは現実的ではありません。

しかし、洋上ならば可能性が開けます。風力タービンを洋上に設置すれば、施設近くの地域で議論の原因となることはありません。実際に多くの地域で洋上風力は産業の一つとなっており、欧州風力エネルギー協会によると、欧州における洋上風力は今後2年間で現在のほぼ倍になり、2020年までに25ギガワットを達成する見込みです。事実、2017年はヨーロッパの海上風力発電量が過去最高となり、現在、4000台の洋上タービンが11カ国で稼動しています。

しかしながら、現在の洋上風力発電設備の課題は、タービンを設置するために水深50メートルという浅い海底が必要となることです。世界的にこのように浅い沿岸地形は限られています。そして沿岸地域は多くの場合、船舶が行き交い、ケーブルが設置されており、環境に敏感な海洋生物が生息しているのです。

テュフズード Business Line Manager of Renewables and Windの Nigel Croweはこう話します。「この水深を確保できる地形の割合は非常に小さいため、さらに沖へ出ることで風力発電の可能性はさらなる広がります。」 「浮体式洋上風力発電施設」の導入は、発電の流れを変える可能性を秘めています。タービンをさらに沖合いに配置することで、より速く、より安定した有用な風力が得られます。

さらに沖へ

効果的な風力発電施設を建設するには、できるだけ高い風速が確保できる場所を選ぶ必要があります。Nigel Croweは言います。「風が作り出す電力は風速と指数関数的な関係にあり、風速を2倍にすれば最大8倍の電力を生み出すことになります。」

また、彼はこうも言います。「沖合いに建設することで都市の建築物や、陸地の存在がもたらす海岸線から数キロに及ぶとされる物理的な遮蔽による風力の減衰を回避することができるのです。」

さらに、沿岸から離れることができれば、風力発電施設の建設に柔軟性が生まれます。それによりエネルギーの専門家は、沿岸地域住民への騒音の影響を減らし、港や船舶の迷惑にならず、何よりも海洋生物を脅かすことのない場所を探すことができるのです。

しかしながら、浮体式洋上風力発電施設の建設には困難な面もあります。Nigel Croweはこう言います。「ウィンドファームを海に浮かべることは、他にはない課題を抱えています。タービンの機能が保たれるように垂直に保つことはなかなか難しいことです。タービンを倒そうとする強力な力が働くので、大規模で革新的な浮体式基礎が必要になります。」

また、Nigel Croweはこう続けます。「幸運なことに、現代の技術と設計法のおかげで風力発電施設をさらに沖へ移すことが真剣に検討されています。新しいアプリケーションにより効率的な蓄電が可能になりました。そして、低コストの船で曳航されるため、高価な船舶を使用して固定基盤にタービンを建設する必要なく、浮体式洋上風力発電施設は岸の近くに建設することができます。」

安全最優先

浮体式洋上風力発電はまだ発展途上の段階です。しかし世界の国々が京都議定書などを通じ再生可能エネルギーへの代替を誓うと、事業者や行政官は風力発電施設を早急に稼動させなければならないというプレッシャーのもとに置かれています。そういった状況では、通常よりも注意を払い、新しい風力発電施設で安全性が損なわれないようにしなければなりません。

Nigel Croweはこう語ります。「風力タービンは商用ジェットエンジンの管理と同等に扱われる傾向にあります。信頼のおける、安全で効率的な稼働のためには、製造業者と第三者検査機関の両者による効果的で的を射た、厳密な試験と検査が必要です。」

風の中に

洋上風力発電は成熟段階に入っていますが、浮体式が主流になるまでにはまだかなりの発展を遂げる必要があります。しかし歴史上、人類の味方であり、時に妨げとなってきた海風を利用した風力発電はますます効果を発揮し、その未来は明るいものであると言えます。

浮体式洋上風力発電は未来のテクノロジーと考えられていましたが、遂に2017年、世界初の浮体式洋上風力発電所が開設されました。スコットランド沖に建設されたハイウィンド・スコットランド(Hywind Scotland)は、イギリスの住宅2万世帯に電力を供給する予定です。

開発のスピードから、エネルギーのトリレンマに取り組みながら私たちが進んでいる道は間違っていないという自信を持つことができました。Nigel Croweは、エネルギーのトリレンマの核心的要素の一つである衡平について言及しています。「深海上に浮かべる風力発電所はまだ広く適用されていない技術を適用するため、コストは比較的高くなります。しかし、陸上の発電所、着床式の洋上プロジェクト、ソーラー発電などで見てきたとおり、技術が発展するにつれてコストは大幅に下がるでしょう。」

風力エネルギーの未来とは?Nigel Croweは言います。「電力の使用場所からの距離は重要ではなくなる様に、浮体式洋上風力発電の躍進は、効率的な蓄電ソリューションの開発にかかっています。」

あなたの風力発電へのチャレンジをサポートするソリューションを見つけてください。


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