量産/最終製品へのアディティブ マニュファクチャリング適用に向けた準備とは

量産/最終製品へのアディティブ マニュファクチャリング適用を成功に導くためには関連規格に適合した品質マネジメント体制の構築とその運用が不可欠である。しかしそのアプローチは現在まったく不十分な状況にある。

 Gregor Reischle

Head of Additive Manufacturing, TÜV SÜD

アディティブ マニュファクチャリング市場は急速に成長しています。しかし、急速な成長の一方で、近い将来、アディティブ マニュファクチャリング業界は事業モデル、製造プロセス、品質マネジメント、人材教育といったあらゆる点で、関連規格への適合を前提にする課題に直面するものと思われます。アディティブ マニュファクチャリング業界全体が、今こそこの課題を正しく認識し行動を起こさなければ、その未来は順風満帆とは言い難いでしょう。

新たな生産技術への転換とビジネスモデルの再考

アディティブ マニュファクチャリングは、ビジネスに幅広く様々な利益をもたらす可能性を秘めています。但し、その利益を享受するためには、前述の根本的な課題への積極的な対応が前提となります。量産/最終製品への適用を考える上で、はじめに行うべきことはビジネスモデルの再考があり、以下はその一例です。

  • 大量生産 から パーソナライゼーション(個別対応生産)へ

一般的な生産の概念は、同じ仕様の製品を数百~数千といった数量を一度に行うものです。これに対してアディティブ マニュファクチャリングは、複雑な形状物の製造や多種少量生産への対応に強みを発揮するという特徴があります。但し、これを可能とするには品質保証の仕組みづくりや認証取得など新たな課題への取り組みが必要です。

  • サプライチェーンの一元化に分散化を取り入れた二元体制へ

従来の製造業では、コスト削減、効率改善からスケールメリットが引き出せるサプライチェーンの一元化を推進してきました。これに対してアディティブ マニュファクチャリングは納入先に近い場所に製造拠点を置き、通信ネットワークを活用した分散型のサプライチェーンを実現できます。また、デジタルデータで(部品や金型の)図面を管理し分散工場化することで調達リスクの回避ができ機動力を備えた調達体制がとれることもメリットになります。但し、これを可能とするには各製造拠点における品質マネジメントが必要となります。

  • 在庫バッファからオンデマンド生産へ

従来の製造業では、在庫バッファを考慮入れた生産が基本ですが、在庫の売れ残りはビジネスリスクとなります。アディティブ マニュファクチャリングはオンデマンド対応に適しているため、需要数に応じた生産による在庫リスクを低減の仕組みを取りやすくなります。但し、品質マネジメント体制の構築、知的財産権の保護、ビジネスモデルの再考が課題となります。 

量産/最終製品へのアディティブ マニュファクチャリング適用を成功に導くためには、次に挙げる変革を成し遂げる必要があります。

  • 事業管理

アディティブ マニュファクチャリングの特徴を捉えた幅広い視点からのビジネス戦略の再検討がなければ、享受できる利益は限られます。具体的には取引の仕組み作り、市場分野の正しい選定、顧客への総合提案力、デザイン力そして品質マネジメント能力が必要となります。

  • 顧客管理

顧客は、従来と同等かそれ以上の品質保証を求めることでしょう。部品メーカーは顧客の品質要求にこたえるために、試験や認証に対応する必要が出てくるでしょう。また、部品メーカーは当面の間、顧客対してアディティブ マニュファクチャリングの適用による価値の引き出し方についてのコンサルティングやデザイン法の理解を共有する必要があるでしょう。これらを部品メーカーだけで対応することは困難を極めることが考えられます。

  • 案件管理

アディティブ マニュファクチャリングの製造プロセスには従来とは異なる点が多く存在します。また、CAD、CAMの準備から規制産業に対応する新たな試験や品質保証スキーム、高品質、多種少量生産、アジャイル開発、合理的な案件管理など対応が必要となる項目は多岐にわたります。

  • 生産管理

量産/最終製品への適用には、アディティブ マニュファクチャリング特有の落とし穴をあらかじめ考慮した製造プロセスが必要となります。特に再現性やトレーサビリティが可能な工程を構築する際、生産管理者は原材料の調達・管理から後加工まで従来とは異なる観点が必要となります。
積層造形

積層造形装置のオペレーターは装置の操作と監視、製品検査に関する教育が必要です。積層造形装置メーカーおよび周辺装置メーカー、それらの販売会社は、積層造形装置のオペレーターに対する教育や助言を行う必要があります。

  • 後加工

積層造形の後は、造形物の取出しから仕上げ加工へと進みます。この品質マネジメントの観点からこの工程の自動化は大変重要といえます。金属積層造形、樹脂積層造形ともにサポートの除去はもっとも自動化が望まれる負荷の高い工程です。また原材料のリサイクル・仕分けから熱処理、切削、色付け、表面処理なども各工程間での連続性が求められます。

アディティブ マニュファクチャリングから享受できる利益を最大化するためには、上記のようなほぼ事業全体に及ぶ変革の必要性を正確に認識し、中長期的な事業計画と投資が必要になります。それらを実施できない場合、製品と標準規格との間に矛盾が発生し、製品ユーザーおよび製品メーカーはある一定の信頼性を前提とした品質確認ができなくなると考えられます。そのため、製品ユーザーが良品を享受できることを目的に、宇宙、航空、自動車、プラント、医療といった産業からは関連規格の整備の要望が高まっています。

テュフズードの試験・認証サービスは標準規格適合の証

部品メーカーだけですべての課題が解決するわけでもありません。積層造形装置メーカー、原材料メーカー、ソフトウェアメーカーも自社製品を関連規格の要求に適合させる必要があります。その際、テュフズードの量産向け アディティブ マニュファクチャリング 試験レポート・認証マークは関連規格への適合性を示す証として機能するでしょう。

テュフズード プロダクトサービス(ドイツ本社)Head of Additive Manufacturing, Gregor Reischle は、こう述べています。” ついに量産/最終製品へのアディティブ マニュファクチャリング適用が始まった。しかし各産業界は、これを成功に導くために各業界に関連する製造プロセスへの要求事項の明確化、高い品質の証明方法、関連規格の策定を行う必要がある。現在、テュフズードは、量産/最終製品への適用準備に不足な状況と品質保証スキームの間のギャップを埋めるための支援活動を行っている。”

製品ユーザーおよび製品メーカーは、どの部品メーカー、どの積層造形装置メーカー、どの原材料メーカー、どのソフトウェアメーカーが関連規格の要求事項に適合しているのかについて、自身のみで確認することはほぼ不可能な状況と言えます。もちろん製品ユーザーおよび製品メーカーは自身による品質確認方法について検討する必要性はありますが、コストおよび時間的な制約から限界があるでしょう。そこで、テュフズードのような第三者による試験・認証サービスが存在します。

現在、テュフズードはグローバルでアディティブ マニュファクチャリングの標準規格化活動に参画しています(参考: DIN SPEC 17071 リリース, ASTM International との協業覚書に調印)。またテュフズードは、ドイツ国家規格DIN、国際標準規格ISO/ASTM などの関連規格の要求を反映した監査基準に基づく、部品メーカー向けの iAM 製造センター認証事例がすでにあります。現在、この認証サービスは全世界で提供しています。テュフズードでは、量産/最終製品への準備ができている部品メーカーを見分ける指標としてこの認証サービスの活用を提案します。

テュフズード 量産向け アディティブ マニュファクチャリング iAM サービスについてはこちらをご参照ください。

ドイツ鉄道様のAM部品サプライヤー認定プログラムとして採用された事例はこちら

iAM 製造センター認証(テュフズードジャパンによるサービス:提供中)

 
テュフズードジャパン株式会社

アディティブ マニュファクチャリング チーム

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